第12回「はぴかちゃん歯いく大賞」には、28,301句ものご応募をいただき、ありがとうございました。3歳のお子様から99歳の方まで、一句一句に歯や口の健康へのさまざまな想いがこめられ、感性豊かな作品の数々でした。

表彰式は平成27年11月8日、いよてつ高島屋スカイドームにて開催され、「はぴか大賞」は、夏井いつき先生の選によって優秀賞に選ばれた15句の中から、表彰式当日、会場に集まってくださった約200名の方々の投票により決定いたしました。

入選作品

はぴか大賞

抜けた乳歯を詠んだ句は毎年たくさん寄せられますが、この句の発想は一歩抜きん出ています。つい「一昨日」までは、抜けた「あの歯」でこの「きゅうり」を噛みしめてたんだなあとつぶやく作者は、一本抜けた歯形のままキュウリをかりかり噛んでいるのです。

 さらにこの句が面白いのは、抜けた「あの歯」が永久歯だったと読んでも成立することです。ああ、「一昨日」までは自分の「あの歯」で噛めてた「きゅうり」なのに……という溜息。同じ十七音で、歯の一生を語っている作品に、会場の皆さんの共感が集まりました。

優秀賞

小学生の部

「ねえちゃん」が歌っている「はみがきの歌」を聞きながら、妹や弟たちも賑やかに「はみがき」を始めます。季語「夏休み」の明るさが、姉妹兄弟の「はみがき」シーンを楽しく彩ります。

学校の「歯みがき」タイムの音楽が「モーツァルト」なのかな。それともお家で誰かが聞いているのかな。明確な季語はなくても「モーツァルト」という人名と曲のイメージが一句を支えます。

「雲のみね」は夏の入道雲のことで、漢字では「雲の峰」と書きます。「雲のみね」はむくむくと育ち、私の「虫歯」はまだまだ「工事中」。中七「げんざい」という真面目な表現が面白い一句です。

「十三人」の同級生かな、全校皆で「十三人」なのかもしれませんね。「始業式」に集まった友だちの「歯」の「白」さは、休みの期間中いかに元気に遊んだかの証拠。賑やかな声も弾けます。

「はいしゃさん」が終わったら「かいすいよく」へ行こうね、というのがお家の人との約束なのでしょう。ヒヤヒヤする気持ちとワクワクする気持ちが一句につまっているのが愉快ですね。

中・高校生の部

593のリズムですが、音数を全部足すと17音になっているという技の作品です。「飴玉」をガリガリと「噛み砕いて」いる音と、「しまえ」という勢いが、季語「立夏」の明るさを際立てます。

「反抗期」が進むにつれて「乳歯」は一本ずつ生え替わっていきます。「一本」だけ残っている「乳歯」は、いよいよ本格的「反抗期」へ突入する合図のようでもある、今年の「夏」なのです。

「介護実習」という四文字だけで、状況を明確に伝えている点が実に巧い作品です。「歯みがきの介護実習」の現場は緊張の中にも和やかさのある時間。季語「菊日和」が優しい表情を添えます。

見上げる「秋空」の青を背景に聳える「白い校舎」。そして、そこには「白い歯」をみせて笑う友だちもいるのでしょう。二つの違った「白」との対比によって、季語「秋空」を爽快に描きます。

一般の部

行きつけの歯医者さんなんでしょう。まずは「夏痩せ」を心配して声をかけてくれ、そして始まるいつもの「歯」のメンテナンス。安心して座れる「歯科」の椅子のなんと有り難いことでしょう。

「歯は立派やと誉めてもらってます」と豪快に笑う作者は90歳。実体験をそのまま述べた「千にひとりの歯と言はれ」という措辞が実に天晴れ。「海鼠噛む」感触もきしきし伝わってくる一句です、

「歯科の椅子」に座って口を開けたとき、「舌」は一体どこにおけばいいんだろうという小さな疑問を「春愁」と表現したのが作者のセンス。「もてあます」という措辞にも強い共感を覚えます。

「はみがきができた」「パンツがはけた」と一つ一つできることが増えながら、子どもたちは成長していきます。最後に飛び出してくる「夏」という季語が、いかにも元気がよくて楽しい作品です。

「灼熱の天下」とはこの厳しい時代を意味するのでしょうか。それとも甲子園で優勝する、なんてことかもね。「天下獲る」ための条件として「歯をみがけ」と言い放つ愉快が一句の魅力です。

ユニーク賞

小学生の部

「つうちひょう」を眺めてみると「たいいく」も「べんきょうも」苦手な「△」なんだけど、でも「はみがき」は「◎」。虫歯が一本もないのが自慢ですと堂々と胸張る一句のなんと可愛いこと!

中・高校生の部

「月」の欠けているさまを「歯型」と言ってるのか、「月」の面の陰影を「歯型」と比喩しているのか。ともかくも「月の歯型はわしのモノ」なんて大ぼらを吹いてる「祖父」って面白いよねえ。

一般の部

「はえかわる歯」をそこまで愛しく思うのが、親の気持ちってもんですねえ。「名前」をつけたらますますこの「歯」を虫歯にさせるわけにはいかない。今日も心をこめて「みがく夏」であります。

愛媛県歯科医師会賞

鍋やレンジを磨くための「磨き粉」が「指」さきに「ざらつく」感触に「冬」の訪れを感じとっている感覚が鋭敏。映像を持たない季語「冬はじめ」を「磨き粉」の手触りで表現した発想が見事です。

佳作作品

小学生の部

夏風におされて入るはいしゃさん 玉井 心彩
歯みがきはふうりんゆれたそのそばで藤本 百香
つよいはになることめざしにぼしかむ宮本 陽奈
ぬけた歯をなげた夜空にはくちょう座遠藤 智那都
はみがきしぬけかけた日は空みる日青木 咲歌
星空をながめてみがく夏休み赤松 海斗
愛犬をだけば甘がみ夕すずみ池田 康祐
万緑の山見てみがく自分の歯二宮 陽紗乃
歯ブラシを選ぶ日あじさい笑ってる岡田 羚
ぬけたじゅんはがたに記ろく夏の風高山 莉子
ぬけた歯をはこんでくれた夏の風黒川 律
金木せいさくころ生えたいとこの歯山﨑 美羽
なつはじめたいこにあわせてはをみがく横山 ひらり
ぬけた歯はさくらのようにちっていく楠葉 絢斗
夏の夜星より明るい歯がぬけた井出内 啓斗
きょうせいのきぐといっしょにすごす夏島田 育弥
運動会きんちょうしたら歯がぬけた黒田 陽菜
むし歯ゼロラムネ早飲み一等賞上田 康貴
なんだこれやえ歯が顔出す夏の海文田 匠海
弟の前ばぬけたよへびのよう近藤 花夏
前のはのとなりがいないつばめの子清家 恋
氷菓サクサクうわさ話は聞こえない栗田 大愛
しまの子のはにさそわれて広がるなつ栗田 想生
夏雲と鏡見比べ歯を磨く栗田 暖乃
はみがきのハッカのにおい夏の空西田 小春
はみがきをしてあきかぜをすいこむ兵頭 海音
秋夕焼と同じ色の歯ブラシ伊勢 雅姫
まだぬけぬ乳歯を世話す夕立風二宮 翔

中・高校生の部

抜けかけの奥歯噛みしめ原爆忌 福原 音
白い歯と並んでみている金魚草藤田 莉奈
夏の夜パジャマについたハミガキ粉小原 早稀
親知らず気にして嘗めてゐる氷菓輪違 典子
Tシャツに飛んだ夏色歯みがき粉重松 愛華
夏の朝歯ブラシにあげる努力賞坂本 真麻
「あ」と奥歯「い」と前歯を磨く夏の朝木多 凪沙
歯みがきをしながら覚える英単語太田 晋汰朗
平泳ぎ息つぎ毎に白い歯見えし向井 聖哉
梅雨の朝公式つぶやき歯をみがく石丸 実祈
じいちゃんと歯型をきそうすいかかな森野 里彩
夏の日の唯一の賞状「虫歯0」国貞 宗佑
母親にわたした乳歯夏の夜窪田 愛子
食べるたび「磨け磨け」とセミがなく久津那 彩華
歯みがきをする父と子の背は同じ二宮 政也
夏休み歯が折れるほど楽器吹く阿部 眞子
歯磨き粉使いきるラムネ瓶は空武田 歩
かげろうは青く私の歯は白い阿部 なぎさ
冬の蝿横目で睨み歯を磨く岡田 真巳
きしきしと磨く歯に咲くダリアかな西村 香苗
ハブラシの外向く毛先ならぶそらまめ滝下 真央
永久歯向日葵のようにはえてこい中川 千星
真っ白な歯に映り込む昼の虹相原 千夏
野球帽深く炎天歯のゆがみ藤本 晴香
夏の海貝がらみたいな歯がぬけた藏本 佳那
もろこしの芯まで噛んで歯がぬけた河内 昴星
まっしろな夏の日記とわたしの歯岡本 明香里
歯並びが好きと言われた夕月夜村上 千夏
歯みがきをする背中から秋高し村上 舞香
僕の歯よ夏雲よりも遠く遠く檜垣 早苗

一般の部

春風が並んだ歯ブラシ撫でていく 安居 能理子
秋晴や予後といふ身の歯をみがき菅野 清志
宿六の好む歯ごたえ大根干す井上 多栄子
白き歯のあえいうえおあお日焼の子渡部 秀美
名は「きらり」子の歯きらりと夏の海徳井 達夫
セロリ食む美しき歯の美しき音渡部 伴子
夏みかん皮を歯でむく昭和の子奥村 昭夫
退院の光る夫の歯夏来る辻原 雅子
歯固めの蛸のぶつ切り竹の春山本 香代子
紫陽花や歯並びきれいな人といる清水 ハナ子
星月夜みがきのこしはありません真鍋 修也
歯みがきや先づ朝顔に語りかけ片山 辰巳
ねんごろに河馬の歯みがく大暑かな野口 寿雄
さとうきび犬歯で剥いで離島の子菅 貴久代
じいちゃんの入歯カポカポ秋彼岸土屋 実
引き出しの奥から乳歯十三夜山本 明美
はつ恋は親不知に似て盆帰り片山 一行
白き歯をお歯黒にして夏芝居森 里美
くいしばる歯やハンマーは夏空へ菅 伸明
皓き歯や君の言葉が跳ねる夏宮下 嘉納子
仕上げみがきのあとの絵本をよむ夜長西原 真樹
昨年の夏の歯ブラシ祖母の家岡村 理江
秋高し歯間ブラシのきゅきゅと啼く能瀬 京子
重さなき猫の乳歯と万緑と日高 香寿美
秋澄みにけり五合目に口漱ぐ森田 千恵子
今日こそは歯医者の予約蚯蚓鳴く鈴村 美恵
流れ星歯を見せ唸る番犬よ尾崎 恭子
氷水口いっぱいの青春だ尾崎 暁子
秋の風九九言ふ前歯のがらんどう井上 みゆき
八月の前歯乾かせつつ追試櫛部 天思

団体賞

四国中央市立寒川小学校

四国中央市立豊岡小学校

四国中央市立三島小学校

四国中央市立三島西中学校

四国中央市立三島南中学校

四国中央市立三島東中学校

四国中央市立三島西中学校

西条市立神戸小学校

西条市立小松小学校

西条市立河北中学校

西条市立西条南中学校

西条市立東予東中学校

今治市立岡村小学校

今治市立国分小学校

今治市立乃万小学校

今治市立関前中学校

松山市立粟井小学校

松山市立石井小学校

松山市立浮穴小学校

松山市立東雲小学校

松山市立たちばな小学校

松山市立中島小学校

松山市立双葉小学校

松山市立久米中学校

松山市立道後中学校

愛媛県立松山西中等教育学校

聖カタリナ女子高等学校看護科

砥部町立広田小学校

砥部町立高市小学校

砥部町立玉谷小学校

砥部町立砥部中学校

伊予市立佐礼谷小学校

伊予市立港南中学校

伊予市立伊予中学校

伊予市立双海中学校

久万高原町立明神小学校

内子町立石畳小学校

伊方町立水ヶ浦小学校

伊方町立伊方中学校

大洲市立新谷小学校

大洲市立大洲小学校

八幡浜市立双岩小学校

西予市立高川小学校

西予市立田之筋小学校

西予市立遊子川小学校

西予市立惣川小学校

宇和島市立戸島小学校

宇和島市立日振島小学校

愛南町立家串小学校

愛南町立東海小学校

愛南町立中浦小学校

<主催>

愛媛県歯科医師会


<後援>

愛媛県

愛媛県教育委員会

松山市

愛媛新聞社

朝日新聞松山総局

毎日新聞松山支局

読売新聞松山支局

産経新聞松山支局

NHK松山放送局

南海放送

テレビ愛媛

あいテレビ

愛媛朝日テレビ

FM愛媛

リビングまつやま

タウン情報まつやま

All Rights Reserved.