多職種連携事業

骨粗しょう症スクリーニング

骨粗鬆症になると

近年、社会的にも問題となっている骨粗鬆症については、多くの骨粗鬆症患者が無自覚のまま、骨折の危険のある状態で生活しているといわれています。

わが国の骨粗鬆症患者は約 1,200 万人と推定されており、なかでも大腿骨頚部(足の付け根)の骨折患者は 1987 年の全国調査では年間約 5 万人、2002 年の調査では約 12 万人と急速に増加しています。

骨粗鬆症になると、転倒などにより脊椎骨折、大腿骨骨折が起こり、寝たきり状態になることがあります。(寝たきりの原因として、骨粗鬆症(約 20%)は、脳血管障害(約 70%)についで2番目に多い)

また、歯科においては骨粗鬆症と診断された方の 90%以上が重度の歯周病(歯槽膿漏)にかかるとの報告、閉経後女性では高度の骨粗鬆症患者ほど早期に総入れ歯になるとの報告があります。

従って、骨粗鬆症のために骨折を起こす可能性が高い方を早期に診断し有効な予防手段を講じることは健康寿命を延ばすため極めて重要なことです。

骨粗鬆症スクリーニング事業とは?

最近、歯科用パノラマX線写真を用いたスクリーニングが、特に 50 歳以降の女性における骨粗鬆症性骨折の危険を知る手段として、有用であることが判ってきました。(松本歯科大学放射線学講座・田口明教授らの研究、愛知県歯科医師会の取り組み等)

そこで、愛媛県歯科医師会では、歯科疾患の診断・治療の目的で撮影したパノラマⅩ線写真から骨粗鬆症のスクリーニングをし、必要な方には医科の受診をお勧めするという事業を実施しています。(この事業は、愛媛県医師会のご協力をいただき、医科歯科連携推進事業として取り組んでおります。

尚、骨粗鬆症の確定診断には、医科においてレントゲン診断、骨密度の測定等が実施されます。)

注意していただきたい事項

骨粗鬆症と診断されて治療を行う際に、ビスフォスフォネート系薬剤を処方される場合があります。同剤は、骨密度を高め、骨折を予防する効果が非常に高い有用な薬ですが、長期間服用された場合、極めて稀ではありますが、抜歯などの外科処置後に傷の治りが悪い、顎の骨が壊死するなどの副作用が起こることが報告されています。

ただし、この副作用は、お口の中を清潔に保つことで、ある程度予防できると言われていますので、服用される場合は、歯科を受診して歯の治療を完了させ、その後は、かかりつけの歯科医院で定期的な口腔内管理、クリーニングを受けられることをお勧めします。