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いろ歯にほへと

愛媛新聞に掲載記事のバックナンバー

平成14年8月 第3週

審美と口臭 関心高まる口元の美

歯磨剤や歯ブラシなどのCMに、タレントが綺麗に修復された歯を見せてニッコリと笑っている場面があります。いまや、芸能人に限らず一般人の間でも口元の美しさへの関心は高く、とりわけ「歯の漂白」は急激な広まりをみせています。

現代の社会では他人と関わらずに生活することはまず不可能です。そのため、「朝シャン」などに代表されるように清潔感や服装に気をつけ他人に不快な思いをさせたくないように気を配っている方が多くなってきました。口臭もまた重要な因子で、ある調査では80%以上の人が気にしているとの報告があります。欧米諸国では、歯の審美性や口臭については日本より関心が高く、それらに十分に配慮できない人は、社会の信頼を失い、評価が低くなると言われています。

まず、歯の美しさを回復する方法についてお話します。 歯の表面についたタバコのヤニ・コーヒー等の汚れは、歯科医院でのPTC(プロフェショナル・トゥース・クリーニング)により落とすことができます。また歯そのものの色を白くしたい場合には、漂白という方法もあります。歯に薬剤を染み込ませることにより、歯を白くします。ただし、効果には個人差がありできない場合もあります。そして歯の汚れや虫歯、歯周病があると漂白できないので、口の中の衛生状態を十分に良くしておく必要があります。また、漂白した状態を保つには、歯科医院での定期的なチェックが必要です。

次に「いい息してますか?」のフレーズにもありますが、お口の中の見えない審美といわれる口臭についてお話します。

口臭には、

  1. 生理的口臭(起床時・空腹時・月経時・思春期性・老人性)
  2. 飲食物による口臭(アルコール・ニンニク)
  3. 病的口臭(口腔内疾患・内科的疾患)
  4. 心因性口臭(自分自身の思い込み)があります。

1,2は、一過性のもので正しく口の清掃が出来れば問題はありません。最も多くみられるのが3で、原因として主に歯周病・多数のウ蝕・口腔乾燥症などの口腔疾患が挙げられます。細菌によって産生されたメチルメルカプタンなどが強烈な臭いを発生します。口腔乾燥は、鼻疾患でも引き起こされます。あるいは、糖尿病などの全身疾患が隠れていることもあります。4は、必要以上に気にしたり、口臭がないにもかかわらず自分で思いこんだりする場合で、背景に精神的問題を抱えていることが多いようです。何れにしても、ご自身で気になったり周りの方に指摘されたりしたら、正しい状況と原因をはっきりさせるために歯科医院を訪れて、適切なアドバイスを受けましょう。

従来の歯科治療は、痛みからの解放・機能回復に重点をおいてきました。今後はいかに自然で美しい歯や口元、そして、爽やかな表情を回復するかという審美が求められてくるでしょう。

平成14年8月19日(月)
愛媛新聞生活面掲載