愛媛新聞に掲載記事のバックナンバー
平成14年3月 第3週
『あなたも歯周病』8割以上自覚なし
現在の人口統計、厚生統計をきちんと盛り込んで、日本を100人の村に縮小すると村人の口の中はどうなっているでしょう。99人が日本人、1人は外国人。51人が女性で、49人が男性。まだ歯の生えてない赤ちゃんが1人、歯が20本以上ある人が80人、全部歯の抜けてしまったお年寄りが6人。入れ歯を入れている人46人。治療してないむし歯のある人42人。歯周病になっている人は69人、その中で自分が歯周病と気づいていない人が58人。
もしあなたが、歯周病になってない20本以上の歯をもっているなら、あなたより歯の悪い日本の1億人より恵まれています。でも、本当は歯周病に罹っているのかも。治療を必要とする歯周病の人は、10代56%、20代74%、30代81%、40代で87%です。歯が無くなると歯周病も無くなります。これより上の年齢では歯周病で歯の無くなった人が増え、治療の必要な人は減ってきます。それでも50代88%、60代82%、70代58%、80代で34%が歯周病の治療が必要と報告されています。
歯周病は足音を立てずに忍び寄ると言われ、自覚症状なく進行します。歯科健診で歯周病であった人のうち、自分で自覚していた人は16%です。歯医者に指摘されるまで気づかないため、40歳以上で歯を失う原因の約80%が歯周病です。現在、日本では80歳で1人平均8本しか歯が残っていません。若いうちから、かかりつけの歯医者さんでの定期健診をおすすめします。
歯周病は、歯を支えている歯ぐきや骨などの、歯の周囲の組織の病気です。歯ぐきが赤くはれている、歯ぐきから血が出る、歯がしみる、これらの症状が一つでもあれば、歯ぐきに炎症があります。歯周病になっています。歯周病には、歯肉炎と歯周炎(歯槽膿漏)があります。歯ぐきだけに炎症がとどまっている歯周病を歯肉炎といいます。歯肉炎は、最近は小学生、中学生でたいへん増えています。
歯周病は生活習慣病で、食生活やストレス、煙草、糖尿病などがその危険因子です。歯周病の原因は、歯の表面にべっとりついた細菌の集団・プラーク(歯垢)です。歯周病で大切なのはその原因の除去です。歯周病の予防も治療も、歯みがきにはじまり、歯みがきに終わるといわれています。歯ぐきの下にかくれている骨などに炎症が波及してしまい歯周炎になると元の状態には簡単には戻りません。治療も長期間になります。
日本が100人の村だったら、毎日、歯をみがく人が95人。でも、毎食後みがくのは4人。5人の女と10人の男は、朝起きた時にみがくだけ。この1年間に歯科で治療を受けた人は41人。でも、今も治療を続けている人は6人。 日本が100人の村だったら、69人が歯周病。もしも歯の大切さに気付いてくれたなら、まだ間 にあいます。歯を失う悲劇から、この村を救えます。 きっと。
平成14年3月18日(月)
愛媛新聞生活欄16面掲載