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いろ歯にほへと

愛媛新聞に掲載記事のバックナンバー

平成14年4月 第3週

専門職スタッフ 知識と技術でサポート

急に歯がうずきだして、かかりつけの歯科医院へ。「痛くないかな…」不安を胸に受診される方も多いはずです。緊張を和らげるように柔和な笑顔で迎える歯科医院のスタッフ達にもいくつかの職種があるのをご存知ですか?

そう、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手です。これらデンタル・スタッフの仕事をご紹介します。

『インフォームド・コンセント(十分な説明と同意)』という言葉を知っていますね。病状や治療内容を理解、納得して治療を受けていただくために、歯科医師の説明を時にはおぎない、時には理解しやすい言葉にかえてコミュニケーションを円滑にするのは歯科衛生士、歯科助手などデンタル・スタッフの大切な仕事です。

一般的な歯科治療の進め方は、痛む所があれば応急処置を済ませ、次に通常は、歯の周囲組織の状態を改善するための歯周基本(初期)治療をおこないます。歯石が付着し、歯肉が炎症を起こした不潔な状態では、どんなに上手に冠をかぶせても長持ちしません。成人の7割以上がかかっている歯周病の治療には、スケーリング(歯石除去)や口腔衛生指導など歯科衛生士による歯周基本治療が欠かせません。歯科衛生士は口腔ケアの専門家なのです。

歯周基本治療を済ませ、むし歯や歯根の治療を終えて、最終的に冠や入れ歯を入れてほとんどの処置は終了し、良い状態になります。しかしこの良い状態を永く保つためにはメインテナンスが必要です。定期的に受診して専門的な検査を受け、問題点の早期発見、早期治療を受けることが大切です。このメインテナンスにおいても歯科衛生士が活躍します。歯科衛生士は歯科医師の診療介助だけではなく、歯科治療前の口腔内衛生状態の改善と、治療後のメインテナンスという非常に重要な役割を担います。最近では、在宅や施設入居の寝たきり老人に対して、歯科衛生士による訪問口腔衛生指導も行われるようになってきています。

みなさんのお口の中にも詰め物やかぶせものが入っている方がいらっしゃると思いますが、これらを作るのが歯科技工士です。歯科医師が歯を削り、型をとります。歯科技工士は模型上でプラスチック、セラミックス、金属などの無機物を使い、一人ひとりの患者さんに合わせた歯の機能を与えたり、見栄えを良くしたりして「人工臓器」に仕上げます。機能的にも審美的にも充分に満足して使っていただける『人工臓器』に仕上げるためには、歯科医師と歯科技工士の緊密な連携が必須です。歯科医師が患者さんの口腔内情報を正確に歯科技工士に伝え、歯科技工士が精密、高度な技術を駆使して、快適に使えるかぶせ物や入れ歯が出来上がるのです。

最近、歯科衛生士の修業年限を従来の2年から3年への延長が検討され、すでに実施されているところもあります。それだけ多くの専門知識の習得と充分な実地訓練が必要で、今後ますます活躍が期待される重要な専門職なのです。

治療(Cure)から予防(Care)へ変遷する時代に対応して、歯科医療の現場ではこのように高度な専門知識、技能を習得したデンタル・スタッフによりチーム医療が組まれているのです。

平成14年4月22日
愛媛新聞生活欄16面掲載