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いろ歯にほへと

愛媛新聞に掲載記事のバックナンバー

平成14年12月 第3週

キシリトールについて むし歯を防ぐ補助手段

もうすぐクリスマスですね。クリスマスといえばサンタクロース、サンタクロースの国といえば北欧の森と湖の国、フィンランドが有名ですが最近はキシリトールの国として世界中の注目を浴びています。

日本でもキシリトールが1997年4月より食品添加物として認可されて以来、キシリトールを甘味料として用いたガムやキャンデーなどの製品が数多く販売され、一躍ブームとなりました。皆さんもガムのCMなどで「むし歯予防にキシリトール!」という言葉をよく耳にすると思いますが、キシリトールって何なのでしょう。

「キシリトール」とは天然素材の甘味料で、白樺や樫などを原料にして主にフィンランドで生産されています。私たちの身近なところでは、イチゴやレタス等の果物や野菜に含まれています。甘さは砂糖と同じくらいで、カロリーは砂糖の約75%です。溶ける時に熱を吸収するので、独特の清涼感があります。

さて、このキシリトールがどうしてむし歯予防に役立つのかというと、キシリトールには

  1. 砂糖と違って、むし歯の原因となる酸をつくらない
  2. むし歯菌(ミュータンス菌)の力を弱め数を減らす
  3. 唾液の分泌を助け、歯の再石灰化(歯の溶けた部分を修復すること)を促進する
  4. プラークをさらさらにする

などの歯によい効果があるからです。

「じゃあ、キシリトールガムを噛めば歯磨きしなくていいの?」世の中そんなに甘くありません。キシリトールは、甘味料としてはむし歯を作る要因になりませんが、食べ物の中にはキシリトール以外の(分解されて酸になってしまう)糖がたくさんあります。キシリトールガムを噛んでも、むし歯になる可能性は充分ありますので、歯磨きは必ず必要です。歯の表面についている粘着性のねばねばしたプラークは、キシリトールによってさらさらになるので歯磨きで落ちやすくなります。

では、キシリトールをむし歯予防の目的で効果的に利用するにはどうすればいいのでしょう。まず、キシリトール製品では唾液を分泌させる効果の高いガムかタブレット(錠菓)がよいでしょう。そして、キシリトールが甘味料の50%以上で、砂糖が入っていないものを選びましょう。次に、いつガムを噛めばいいかというと、食事やおやつの後で1日3~5回が最も効果的です。キシリトール100%配合の粒ガムの場合、毎食後、歯磨き前に2粒ずつ5~10分間噛むと十分効果があります。さらに、フッ化物配合の歯磨剤で歯磨きすれば効果が増します。

ただ、一度に食べ過ぎるとおなかがゆるくなることがありますが、一時的なもので心配いりません。

いずれにしても、むし歯予防のためには長期間、適切な用法で使用することが大切です。まずは間食やおやつとしてキシリトール入りの食品を利用してみてはいかがでしょうか。

ただし、「ガムを噛んでむし歯予防」という手軽さは魅力ですが、キシリトールのみでむし歯予防ができるのではありません。あくまでもキシリトールはむし歯予防の補助的手段の一つであり、正しい歯磨きの習慣と食生活、フッ素の応用、定期検診がむし歯予防の基本だということを忘れないで下さい。

平成14年12月16日(月)
愛媛新聞生活欄18面掲載