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いろ歯にほへと

愛媛新聞に掲載記事のバックナンバー

平成14年6月 第3週

要観察歯 再石灰化促し進行予防

小中学校生のお子さんがいるお宅では、この時期になると歯科健診結果のお知らせの用紙を持ってくると思います 。以前は治療勧告書とも言われ、この用紙がくると歯医者さん通いを始めなきゃと、思っている方も多いはず。

ところで皆さん、学校歯科医の仕事についてご存知でしょうか?学校歯科医の仕事は「歯の健康診断」だけがその役割のように思っていませんか?実際にはそれだけではないのです。学校保健法により、「学校における歯科保健管理に関する専門職として技術的なこと及び指導に従事する。」とあり、学校の中で受け持つ仕事は、「保健管理・保健教育・保健組織活動」と多岐にわたっているのです。

難しい話はこれ位にして、歯科健診結果のお知らせの用紙をよくご覧になって下さい。お父さんお母さんが歯科健診を受けられた頃とは違っていませんか?以前は、永久歯のむし歯の程度の分類(C1~C4)と、その数が主でした。しかし現在は、平成7年度の歯科健診改正により健全歯・未処置歯・COと変更されたのです。用紙にはむし歯になりそうな歯があります(CO)と書かれております。最近テレビのCMにも登場するようになったCOとは、Questionable caries under observation の略で要観察歯という意味です。

ごく初期のむし歯は、進行しないでそのまま状態でとまっていたり、健全な状態にもどることがあり、積極的な治療(以前は早期発見早期治療の名の下に削って詰める治療がされていた。)をするのではなく、経過観察を頻繁におこないながら再石灰化を促す指導・処置(ブラッシング指導・フッ化物やキシリトールの応用・食生活の健全化)を積極的に行なうことにより、出来るだけむし歯に進行させないようにする予防的な考え方に基づいているのです。

学校健診におけるCOは、現在のところむし歯とは断定できないがごく初期のむし歯の疑いがあり、お口の環境変化により良くも悪くもなる状態で、3~6ヶ月後に再度健診をして経過観察をしなければならないのです。したがって、お知らせの用紙のCOのみのチェックであったとしても、歯科受診をしなくてよいのではなく、かかりつけ歯科医のもと、きちんとした診断と経過観察をしてほしいと思うのです。なぜなら、学校健診では、歯科医院の診察室とは異なり、十分な照明と健診時間がないだけでなく、ときに児童生徒のブラッシングの状態が悪いと、むし歯の診査が正確に行なえない場合も多いからです。

歯科医師会で運動している8020も、小さい頃からむし歯にしない、させないようしなければ達成はされません。そのためにも学校歯科医は、日々の診療をしながら学齢期における歯科保健活動を行なっているのです。