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いろ歯にほへと

愛媛新聞に掲載記事のバックナンバー

平成14年10月 第1週

マウスガード ケガ防ぎ 筋力向上も

もうすぐ「体育の日」。東京オリンピックのメモリアルとして、「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」ことを目的としてつくられたこの日、運動会をはじめ、いろいろなスポーツに爽快な汗を流すのにはもってこいの季節です。

でもこのスポーツで選手同士が衝突したりして、けがを生じることがあります。特にお口の周囲のけがは発生率が高く、頬・唇や舌などを切ったり、歯が欠けたり、ぐらついたり、抜けたり、あごの骨折などを起こしたりすることがあります。

スポーツではまず第一に「安全にスポーツする」ということが前提です。その為、スポーツ選手のお口のケガを予防するものとして、プレー時にマウスガードを装着することをお薦めします。

みなさん、ところでマウスガードってご存知ですか?マウスガードと言っても知らない方が多いと思いますが、ボクシング選手が試合中、お口に入れているマウスピースと言えばお分かりでしょう。

このマウスガードは強い衝撃から歯やあごの骨や関節を守ったり、唇・舌・頬がけがを負うのを防ぎます。また、脳震盪などのダメージを防ぎ、人によっては筋力アップや体のバランスを良くするなどの効果もあります。

マウスガードには、①選手自身がスポーツ用品店などで購入する市販のものと、②歯医者さんによって一人一人の選手に製作されるカスタムメイドのものとがあります。

市販のものは比較的安く、入手が容易である一方で、選手自身で調整するため、落ちやすい、話しずらい、呼吸しずらいなどの不具合が生じることが多いのです。それに比べてカスタムメイドのマウスガードは歯医者さんによって作製されるために、フィット感が良く、話しやすく、さらに衝撃力吸収の程度も市販のものに比べて格段に優れています。

平成11年に、本県の高校を含む全国7つの高等学校(有効回答70名、内マウスガード装着38名)のラグビー選手に対して行なったアンケートで、興味深い結果が出ました。

「マウスガードを装着していますか?」の質問に対して、「はい」と答えた全員がカスタムメイドのマウスガードで、しかも前年度全国大会の優勝校、ベスト4、ベスト8、常連校の4校の選手でした。次いで、「練習中、試合中に口や歯にけがは?」の質問では当然マウスガードを装着しているほうが少なく、そして、「マウスガードを入れた後何か違いは?」の質問に対してマウスガードを入れている選手の約2/3が、「タックルに恐怖心が無くなった」、そして約半分が「スクラムタックルに力が入る」という答えでした。

現在、わが国のスポーツでは、ボクシングにおいて装着が義務づけられ、そのほか、アメリカンフットボール、空手そして女子のラクロスの一部競技でマウスガードの装着が義務づけられています。しかしながら受傷率の高いコンタクトスポーツであるラグビー、サッカー、バスケットボール、ハンドボールなどは普及率が低いのが現状です。

2年前、シドニーオリンピックが盛大に開催され、日本でもテレビに釘付けになった人びとも多かったのではないでしょうか。テレビの画像にサッカーや重量挙げの選手たちが、カラーのマウスガードを使用しているのが何度も映し出されていました。このように今まで見向きもされなかったスポーツにカスタムメイドのマウスガードが普及されてきています。

みなさんマウスガードを使用して、安全に楽しくスポーツを楽しみましょう!